この記事では、日本ソムリエ協会(J.S.A.)が認定するJ.S.A.ワインエキスパート資格の二次試験について、試験の内容から対策方法までを2022年度に一発合格した筆者の実体験をふまえて解説します。
📝 この記事は、こんな方におすすめです:
☑ ワインエキスパート二次試験の内容を詳しく知りたい方
☑ 二次試験の近年の出題品目を知りたい方
☑ テイスティング試験の練習方法を探している方
ワインエキスパート二次試験|概要
J.S.A.ワインエキスパート二次試験は、一次試験合格者を対象に例年10月頃に実施されるテイスティング形式の試験です。
例年の試験時間は50分で、解答は全てマークシート形式です。
ワインエキスパート二次試験|出題内容
ワインエキスパート二次試験では、ワイン4種類と、その他のお酒1種類が出題されます。
例年、白ワイン2種、赤ワイン2種、その他のお酒1種が出題されています。
「ワイン」4種については、 外観・香り・味わい・評価・適正温度、適切なグラスの大きさ・収穫年・生産国・主なぶどう品種の各項目について、用語選択用紙から適切な用語を選びます。
「その他のお酒」については、蒸留酒、リキュール、酒精強化ワインなど数多くのお酒の中から、ランダムに出題されます💡
「その他のお酒」は、外観や香り、味わいに関する項目はなく、お酒の銘柄のみを選択します。
ワインエキスパート二次試験|過去の出題傾向と配点
ワインエキスパート二次試験の、直近3年間の出題品目は以下の通りです。
J.S.A.ワインエキスパート二次試験
2022〜2024年出題ワイン・その他のお酒一覧
2024年:
ぶどう品種/銘柄 | 生産地 | 生産年 |
---|---|---|
ミュスカデ | フランス | 2021年 |
シャルドネ | 日本 | 2023年 |
カベルネ・ソーヴィニヨン | アメリカ | 2021年 |
サンジョベーゼ | イタリア | 2020年 |
バーボンウイスキー | - | - |
2023年:
ぶどう品種/銘柄 | 生産地 | 生産年 |
---|---|---|
ソーヴィニヨン・ブラン | チリ | 2021年 |
リースリング | オーストラリア | 2021年 |
グルナッシュ | フランス | 2021年 |
テンプラニーリョ | スペイン | 2017年 |
ジン | - | - |
2022年:
ぶどう品種/銘柄 | 生産地 | 生産年 |
---|---|---|
ソーヴィニヨン・ブラン | ニュージーランド | 2019年 |
甲州 | 日本 | 2021年 |
カベルネ・ソーヴィニヨン | アメリカ | 2019年 |
シラー | フランス | 2018年 |
オー・ド・ヴィー・ド・キルシュ | - | - |
近年の出題ワインをみると、日本ワインがワインエキスパート/ソムリエ試験のどちらかで1つ出題されています🍷2023年は、ソムリエの二次試験で日本のメルロが出題されました。
あくまでも近年の傾向であるため、来年度も日本ワインが出題されるかどうかは分かりません。
ワインエキスパート二次試験|項目別の配点
ワインエキスパート二次試験(2024年度)の、テイスティング項目別の点数配分は以下の通りです。
「収穫年」や「生産地」、「主なぶどう品種」は、解答1つあたりの配点は高いですが、経験豊富なプロの方でも品種や生産地、生産年を的確に当てることは難しいといわれています。
全体を通してみると、「外観」・「香り」・「味わい」に関する項目で全体の7割近くを占めるため、それらを外さないことが合格のための大きな鍵となります🔑
ワインエキスパート二次試験|合格ライン
明確な合格ラインは公表されていませんが、毎年おおよそ上位75%くらいの方が合格するといわれています。
ちなみに筆者は、2022年にワインエキスパート試験を受験をした際、白ワイン2種の品種と生産地、赤ワイン1種の生産地は正解し、ワイン以外のお酒は外しましたが合格することができました。
赤ワイン1種は品種は外したものの、外観・香り・味わいなどのテイスティングコメントの方向性は大きくずれることなく回答することができていたかと思います。
ぶどう品種や生産地を当てることよりも、「外観」・「香り」・「味わい」など、目の前のワインの特徴を捉える力が重要視されているように感じました🍷
ワインエキスパート二次試験|おすすめのテイスティング試験対策法
筆者が実際に行い効果的だと感じた試験対策方法をお伝えいたします。あくまで個人の感想となるため、ご自身に合った方法を見つけて練習されることをおすすめします✨
準備して良かったもの
1:テイスティング練習用グラス
自宅でテイスティング練習をする際のグラスは、試験で出題されるものと同じ国際規格のテイスティンググラス(INAOグラスまたは、ISO規格と呼ばれるもの)がおすすめです。
試験当日は、ワイン4種とその他のお酒1種が、この国際規格のテイスティンググラスに注がれた状態で用意されます。
試験に出題されるものと同様のグラスを使うことで本番に近い状態で練習することができ、数種類のワインを比較する上でもとても役立ちました🍷
2:マークシート用シャープペンシル
試験当日に解答用紙のマークシートを塗りつぶす際に、マークシート専用のシャープペンシルがあるととても便利です。普通のシャープペンシルよりも芯が太いく、より早く塗りつぶすことができ時間短縮になりました。
テイスティング試験の練習方法|効率的な対策と準備
テイスティングの練習をするときは、一度に複数のワインを比較しながら練習することで、外観や香り、味わいの違いをより理解しやすくなります🍷
テイスティングの練習は、どの品種から始めるのがおすすめですか?
まずは、基本のぶどう品種の特徴を理解することが大切です!
テイスティングの勉強を始める際、まずは過去の試験でも繰り返し出題されている、出題頻度の高い基本のぶどう品種の特徴を理解することが大切です🍇✨
基本のぶどう品種は以下の通りです。
赤ワイン:
カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シラー(シラーズ)
白ワイン:
シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング
上記の品種の特徴をある程度理解した上で、それぞれの品種の主要な産地ごとの特徴をつかむ練習をすることがおすすめです🍷
それぞれの品種の個性については、YouTubeなどでも分かりやすく解説されている動画が多くあります。
基本の品種ごとの主要な産地は以下の通りです。
二次試験対策の練習用ワインは、実際の試験で出題されるワインと同じ価格帯(3000円前後のもの)が良いといわれています。しかし、始めから品種ごとにたくさんの種類のワインをそろえるのは大変です。
筆者がテイスティングの勉強を始めたばかりの頃は、まずは基本のぶどう品種の特徴を習得するため、チリワインのコノスルの「ビシクレタ・レゼルバ」シリーズのワインで練習を行いました🍷
こちらのシリーズのワインは、税込みで1000円以内とリーズナブルでありながら、各ぶどう品種の特徴が顕著に現れています🍇✨
味も美味しくコスパも良いので、品種ごとの特徴の違いを理解するための練習用としてとてもおすすめです!
ボトルで購入したワインを数回に分けて練習する場合、どのように保管すれば良いですか?
小瓶にうつして、冷蔵庫で保管するのがおすすめです!
ワインは抜栓後に直接空気と触れることで、味や香りが時間とともに大きく変化してしまいます。
そのため、抜栓後すぐに小瓶にうつし保管することで、風味の変化を極力抑えた状態で、1本のワインを複数回に分けて練習することができます🍷
小瓶にワインを溢れる直前(表面張力で液面が盛り上がるくらい)まで注いだ状態でアルミキャップを閉め、冷蔵庫で保管することがポイントです!
ワインエキスパート二次試験|当日の流れと時間配分について
二次試験当日のスケジュール
【2024年度】
11:30 開場
11:40〜オリエンテーション(試験の説明)
11:50〜12:40 テイスティング試験(50分)
12:45 解散
試験当日、会場に入り自分の受験番号が貼られた席につくと、目の前にワイン4種とその他のお酒1種が入ったグラス計5脚が置かれています。グラスに触れることや香りをとることはできませんが、試験開始までの間、目の前のワインの色については見ることができる状態でした🍷
マークシートに記入する解答用紙とは別に、テイスティング用語などが書かれた用語選択用紙(両面印刷で、表面は白ワイン用、裏面は赤ワイン用)が用意されています。
用語選択用紙に書かれたテイスティング用語や、項目ごとに指定されている解答数は受験する年によって変化します。
二次試験の時間配分について
ワインエキスパート二次試験では、50分間でワイン4種類と、その他お酒1種類のテイスティングをして、マークシートの解答用紙に記入します。
時間が限られているため、あらかじめ時間配分を決めておくことが大切です!
試験当日はとても集中しているため、思いのほかあっという間に時間が過ぎてしまいました💦そのため、あらかじめマークシートへ記入する時間も含め、ご自身に合った時間配分を決めておくことが大切です🍷
ちなみに筆者は、下記のような時間配分を決めて試験に臨みました。
🍷 ワイン4種のテイスティング(1アイテムあたり3分)×2周 計24分
用語選択用紙の左右の余白に、それぞれのワインの選択した用語番号をメモ
🍷 ワイン4種の回答をマークシートへ記入 15分
メモした番号をマークシートへ記入(指定された回答数と一致しているか確認)
🍷 その他のお酒のテイスティング 5分
🍷 マークシート記入の最終チェック 5分
マークの写し間違いや、指定された選択肢の数とマークした数があっているかを再確認
上記はあくまで筆者が試した時間配分となりますが、ご自身にあったベストな手順と時間配分を考え、タイマーなどを使って練習しておくことをおすすめします✨️
「ワイン以外のお酒」に関しては、アルコール度数が高く香りをとることで鼻が麻痺してしまう為、一番最後にテイスティングされることをおすすめします!
二次試験の結果発表について
二次試験の結果発表は、例年二次試験の10日前後(正式な日程は二次試験当日に発表)に、ソムリエ協会の公式ホームページへ合格者の受験番号が掲載されます。
合否の発表までは期間がありますが、「ワインの品種・生産国・生産年」及び、「その他のお酒の銘柄」については、二次試験当日の夕方頃にソムリエ協会のホームページにて発表されます。
よくある質問|二次試験の対策と準備について
短期間でテイスティング技術を習得する方法はありますか?
短期間でより効率的にテイスティング技術を習得するためには、さまざまなワインスクールで毎年開催されている二次試験対策講座の受講がおすすめです🍷
より短期間で効率よくテイスティング技術を習得したい方は、実績のあるワインスクールで学ぶことが一番の近道となります🍷
毎年さまざまなワインスクールで、テイスティング試験対策に特化した二次試験対策講座が開講されています。
筆者は、オンラインでも受講可能なアカデミー・デュ・ヴァンさんの二次試験対策講座を受講しました。
過去の出題傾向をおさえて、様々な品種や生産地のワインを、詳しい解説と試験本番の回答のコツなどをふまえて実践的に学ぶことができます✨
自宅で学べるオンライン講座では、ご自身のライフスタイルに合わせて学ぶことができるので、1次試験の学習と平行して自分のペースでテイスティング試験対策をしたいという方にもおすすめです🍷
まとめ:ワインエキスパート二次試験のポイント
ワインエキスパート二次試験の主なポイントは以下の通りです。
☑ 試験の概要
・試験時間:50分
・出題内容:ワイン4種+その他のお酒1種
・解答方式:マークシート形式
☑ 配点のポイント
・外観、香り、味わいが全体のおおよそ7割
・品種や生産地を当てることよりもワインの特徴を正確に捉えることが大切✨
☑ 合格に向けたポイント
・品種の特徴を理解する🍷(まずは基本の品種から)
・複数のワインを比較する
・試験前に時間配分を意識した練習を行う
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事では、日本ソムリエ協会(J.S.A.)が認定するJ.S.A.ワインエキスパート資格の二次試験について、試験内容や過去の出題傾向をふまえて解説しました🍷
この記事が、少しでもワインエキスパート試験の受験をされる方の参考になりましたら幸いです。
※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。最新の情報は日本ソムリエ協会(J.S.A.)公式サイトをご確認ください。